先日Twitterでシェアされていた、インドで詐欺被害に遭った方がその被害状況について書いたnoteを見ました。
被害者の方は大学を休学、アルバイトをして必死に貯めた資金を元に世界一周に出発し、1カ国目のインドで詐欺被害に遭い、旅行資金の8割(75万円)ほどを失い日本に緊急帰国したそうです。
酷い話です。
私も必死にお金を貯めて世界一周に出た経験があるので、この情報を見た時にとても残念で悔しいと思いました。なんてことをするんだと。
でも、この事件のことがTwitterで1.2万件もリツイート(記事公開日時点)されているのを見て、怖いなと思いました。情報はいかようにも形を変えて広まっていくものです。同じ情報でも捉え方は人それぞれなので、この事件に関してきっと様々な感想をお持ちの方がいらっしゃるかと思いますが、
この件は、
“インドはやっぱり治安が悪くて危険な国”
“インド人は詐欺師だらけで絶対騙される”
それで終わってはいけないと私は思ったので、この記事を書くことにしました。
まず、インドはそんな国ではないです。インド人はそんな人ばかりじゃないです。詐欺被害があるのは事実ですが、それはインドのほんの一部でしかないです。
目を向けるべきはそこではなく、もっと他にあると思います。
それを根本から理解しなければ今後も詐欺被害が減ることはないと思いますし、インドに限らずそういう方が世界各国を旅行するというのは、あまりに無防備で危険なことだと思います。
詐欺はインドでだけ起こっているわけではありませんので、インド旅行をされる方はもちろん、世界一周を含めツアーなどではなく個人旅行をされる方で、特に”旅行経験の浅い方”にはぜひご覧いただきたいと思います。
目次
インドで日本人の詐欺被害が後を絶たない理由
今回の詐欺被害の概要
この件についてまったく知らなかったという方も多くブログを見てくださると思いますので、ざっくりですが今回の詐欺被害について書きます。
“事件の舞台はインドの首都デリーから南西に約270㎞、ラジャスタン州の州都、ピンクシティと呼ばれる人気の観光地”ジャイプール(Jaipur)”という町。
他の町を経由しジャイプールにたどり着き、インド旅に慣れてきた、そんな頃町中でインド人2人組に声をかけられる。チャイを飲んだりローカル観光案内をしてもらったりと少しずつ打ち解け、仲良くなった彼らから親戚の結婚パーティに来ないかと誘われる。被害者の方は結婚式に参加するためジャイプールを離れ彼らと共に親戚が住む村へ。そこで親戚からもとても歓迎されてその家に宿泊、まるで家族のように接してもらって楽しい時間を過ごす。
そんな時最初にジャイプールで出会った男たちがマリファナを吸い、そこに警察が登場し、その場にいた全員が捕まり、一緒にいただけの被害者の方にも薬物使用容疑がかけられ捕まりそうになる。そしてそれを見逃してもらうための賄賂を要求され、クレジットカードから限度額をキャッシングされる。その賄賂のおかげで彼らが用意してくれた航空券で日本へ帰国することができた”
少しニュアンスが違う部分もあるかもしれせんが、ざっくりとはこんな感じです。
今回の詐欺被害からわかること
インドで1番多い犯罪被害は「詐欺・ぼったくり」です。
今回の詐欺被害は、最初に声をかけてきた男たち、親戚のおじさん、警察官、その他にも登場人物は数名いましたが、その人たち全員がグル、出会いからすべて詐欺グループによって作られたシナリオ、そのシナリオ通りにそれぞれが自分の役を演じた犯罪物語です。
詐欺の大半は「グループ犯罪」です。
今回被害者の方が書かれたnoteや私のざっくりとした被害概要から、「冷静に考えたら途中で騙されてることに気づくのではないか」と思われた方がいるかもしれませんが、冷静に考える時間など与えられるわけはありません。敵は冷静さを欠いてまともな判断ができない状況を巧妙に作り出し追い込むプロです。
お恥ずかしながら私も詐欺グループに騙された経験があるのでわかります。騙された後、何度も思いました。「冷静に考えたらどう考えても色々おかしかったのに、、、」
“冷静に考えたら”
それは冷静な時だから考えられることです。詐欺グループに包囲された状態で考えられることではありません。
自分が騙された時だけではなく、これまで詐欺グループの手口を客観的に何度も見てきましたが、彼らは本当にプロで、その手口は秀逸です。どの世界にもプロが存在するように、犯罪の世界にもプロが存在します。そしてプロに素人が叶わないのはどの世界でも同じです。
彼らは詐欺のプロ、グループで動いているプロ集団、目の前にいる人が1人だったとしても、その背後には5人10人と仲間がいる。どう考えても素人が勝てるわけがないということです。
被害に遭わないためにすべきこと
では、詐欺集団を前に我々は打つ手がないのでしょうか。会ったが最後、騙されるしか道はないのでしょうか。
答えはもちろんNOです。
運悪く詐欺師集団に会ってしまうのは仕方のないことです。彼らは当然観光客をターゲットにしているので、おそらく高確率で何かしらのぼったくりや詐欺師と接触するでしょう。それは止めようもないことです。
ただ、詐欺師に会っただけ、接触しただけでは被害者にはならないので安心してください。もし出会ったとしても被害者にならなければいいのです。彼らは無理矢理財布をこじ開けようとしたり、暴力を振るって力づくでお金を奪い取るわけではないです。言葉巧みに財布を開かせるのです。「詐欺に遭った!ぼったくられた!」と言っても、最終的にそのお金を支払っているのは本人です。
先ほども書きましたが、彼らの手口は秀逸で、巻き込まれたが最後。彼らのシナリオ通りに事が進み、冷静な判断などできない状況を作り出され、最終的に騙されてしまいます。だから、巻き込まれる前に回避すればいいのです。
では、どうしたら巻き込まれないか。
答えはものすごくシンプルです。
見ず知らずの人についていかないこと。
見ず知らずの人を信用しないこと。
簡単なことです。
だって、日本でそんなことをしますか?見ず知らずの人について行きますか?出会ったばかりの人を信用しますか?信頼関係ってそんなに簡単に築けるものですか?
詐欺師が近づいてきても、その場でただ話をしてお別れをすればなんの被害もないです。インド人と話して面白おかしい時間を過ごしたというだけです。
「いい店知ってるから案内するよ!」そう言われても、行かなければぼったくられません。「俺の家に遊びにおいでよ!」行かなければ詐欺に遭うこともありません。踏み込まなければいいだけです。彼らのテリトリーに入らなければ、コーナーに追い込まなければいいのです。
冷静な判断ができるうちに冷静に判断してください。
知らない人について行ったらダメだよ!
小さな頃から親に言われてきたことです。
でもなぜか海外ではそれを平気でしてしまう。治安が良い平和な日本ですらしないことを、他の国でしてしまうのです。日本でさっき出会ったばかりの見ず知らずの人の家に行きますか?その人の言う事が信用できますか?
冷静になってください。
本来であれば平和な日本と同じことを海外ですること自体タブーなはずなのに、なぜ日本ではしない以上の危険行為を海外ではしてしまうのでしょう。受け入れてしまうのでしょう。
旅行の醍醐味という落とし穴
それはもうひとえに“経験”でしょう。
今回被害情報を共有されていた方もそうです。
文中で、声をかけてきたインド人たちにローカルな場所を案内してもらって、まるでインド人になった気分でしたと言っています。そして、問題の結婚式へ誘われた時も、インドの生活や風習に興味があったとしています。
私もそうです。先ほどインドで騙されたことがあると書きましたが、“インド人とのローカル経験願望”がトリガーとなったことは間違いありません。
その国の人、地元の人と触れ合うことは旅の醍醐味でもあります。旅行者として普通に観光地を訪れるだけでは見ることができない彼らの日常を見ること、彼らの生活に触れ、その国の文化に触れること、それこそがかけがえのない経験、特別な経験、そんな経験を自分もしてみたい!そんな気持ちが後押しをするのでしょう。
“地元の人と触れ合うことは旅の醍醐味” 私もそう思います。貴重な経験や体験ができるし、ただ観光地を訪れるよりもより深くその国のことを知ることができます。だから、それをするなとは言いません。
今まで色々なところで何度も言ってきましたが、私のインド好きの1番大きな理由は”インド人”です。インド旅の醍醐味はインド人との触れ合いだと思っています。
だから、すべてのインド人を遠ざけましょう、話しかけてくる人は全員無視しましょう、とは言いたくありません。それではインド旅の楽しさが半減、きっとそれ以下になってしまうと思います。
だから、接する人をしっかりと見分けましょう。
詐欺師の見分け方
インド人は陽気でフレンドリーで、道を歩いているだけで色々な人が気軽に声をかけてくれるので、一体誰が悪い人で誰がただ単に陽気でフレンドリーなインド人!?と判断に困ってしまうかもしれませんが、怪しい人には特徴があるので下記に該当する人は一旦警戒をしてじっくり観察をして判断をしてください。
*観光地で声をかけてくる人
*頼んでもいないのにやたらと親切な人
*押しが強過ぎる人
*英語がペラペラな人
*日本語がペラペラもしくはカタコトでも日本語のワードをいくつか知っている人
*質問攻めをしてくる人
*そこで何をしているのかわからない人
こんな感じの人は何かしらの目的を持って接触してきていると思っていいです。特に、観光地で陽気に声をかけてきたけど、その人がそこにいる理由がイマイチわからない人、この人ここで何してたの?という謎の人は詐欺師の確率は高いと思います。その辺をウロウロして”カモ”を探していた可能性が高いです。
わからない!この人本当にいい人?本当は悪い人?
迷ったらリスクヘッジです。“少しでも怪しいと思ったら遠ざける”が正解だと思います。インド人は目の前にいるその人だけではないですからね。
※詐欺師の特徴に関しては以前書いた治安記事に詳しく書いていますのでそちらをご覧ください。
【必読】被害者にならないために知ってほしいインドでよくある犯罪手口とその対策
インド人は詐欺師だらけで怖い国なのか
インド人の中には確かに詐欺師がいます。
でも私は決して怖い国だとは思いません。
インドは刺激的で魅力溢れる国、インド人はびっくりするほどテキトーでクレイジーで信じられないぐらい人懐っこくて陽気でおせっかいなほど優しくてとても魅力的な人々です。
この記事で書いたように詐欺師に対して打つ手はとてもシンプルで、冷静に対処することができれば本来コテンパンにやられるわけがないのです。
見ず知らずの人についていかないこと。
見ず知らずの人を信用しないこと。
“詐欺師に仕事をさせないこと“、基本はこれです。彼らは詐欺のプロ、それで飯を食っている人たちなので、被害情報が出回ってその手口を知る人が増えて通用しなくなったらまた新たな手口を生み出すのでしょうけど、基本的なところを間違えなければ彼らは仕事ができるわけがないのです。
インドはとても魅力溢れる国です。私はその魅力をたくさん知っているから、“インド=犯罪大国”という捉え方をして遠ざけてしまうのはあまりにもったいないと思うのです。
インドだけではなく、どの国に行くとしてもその国の治安や犯罪情報に意識を向けるということは大事なことです。以前アップした治安記事にも書きましたが、多くの犯罪はその手口を知っていれば回避できると思います。
ぜひインド旅行を楽しんでください。インドを大好きになって日本に帰ってください。みなさまがインドで素敵な時間を過ごせますように。
最後に、何より大切なのは命です。大切な旅資金が失われたことを考えると手放しで良かったとは言えませんが、今回被害に遭われた方が無事日本に帰国をされたようで良かったです。とてもショックだったと思いますが、命を蘇らせることは出来なくてもお金はこれからいくらでも稼ぐことができるので、この経験から学び次の旅に向けて進んでほしいなと思います。
**その他の治安に関する記事**
コメントを残す